さまよえる膵炎人

膵炎とそれなりに楽しく暮らす人の日々雑記

「菓子パン各種」佐々木パン本店(京都市伏見区) レトローカルパン探訪

伏見を訪れた目的は、日本酒を昼間から堂々と飲みつつ
焼き鳥を食べようという内容がメインであったので、
レトローカルパンのことは頭になかった。

と、言うのも、事前に買いそびれなどがないように
一応ネットで検索してから旅行に出るようにしている。
後からせっかく訪れた土地にレトローカルパンがあったら
悔やまれるなと思うからであるが、今回は京都の検索に
まったく引っかからなかったので、完全にノーマークであった。

伏見桃山駅前には、かなり大きな「大手筋商店街」が
広がっており、多くの人で賑わっていた。

坂本竜馬ゆかりの寺田屋を訪れた後、
人気の鳥料理のお店「鳥せい」さんで一杯ひっかけて
のんびり近隣の散歩を楽しんでいたところ、
商店街の中に見事なレトロパン屋さんを発見した。


アーケードの快適商店街。


商店街にひっそり溶けこむ外観。






店先に積まれたプラスチックケースの中に、
がさっと置かれたパン達は、殆どが透明のビニールに
入れられていたが、一部はどうやら独自パッケージだと
気が付いた。

これは、まごうかたなきレトローカルパン。
たまたまこの道を選ばなければ辿り着けず、
僥倖であった。



店構えのレトロ感は、非常にナチュラルで、
自然な経年でしか出せない味わいがあり、
シンプルでありながら、圧倒的な存在感。

お店の外に向けて、プラケース内にパンが
並べられているので通りがかりに買いやすい。
お店の中にも棚があり、沢山のパンが並んでいる。

店内には使い込まれた美しいオレンジの
プラスチックトレーが積まれており、
果たしてお店もパンも理想的なレトロなのであった。



売り子をされている品の良い、素敵な笑顔のおばあちゃんは、
通りがかりの近所の方にのんびりとパンを売っている。

ひとしきりお客が途切れるのを待って、
レトロパッケージのパンをまとめて購入した。

とても美味しそうなパンですねとお声を掛けると、
にっこりしながらお礼を言われ、世間話など。

五個購入して650円。
つぶさないよう大事に持ち帰ってきた。

五種類のパンは
「クリームパン」「ジャムパン」「小倉あんパン」
サンライズ」「メロンパン」。

まずは「クリームパン」


白と黄色の見事なパッケージ。
こういう潔いまでの色数の少なさと簡素なデザインが、
レトロパンに華を添えるのだなとしみじみ思える
シンプルな意匠。
クリームパンの書体も素晴らしい。


ふっくらした松型に、均一な焼き色。



中身はと言えば、この偏りっぷりが良い。

正直、ここまで見事なレトローカルパンに
味を期待するのはどうかとひそかに思っていたが、
むしろその考えは失礼であった。

パン生地はふんわりと柔らかく、きめの細かさと
しっとり具合も素晴らしい。
特にコーンスターチが多めのかなり固めのクリームは
バニラの香りも良く、滑らかで、パン生地と見事に
マッチしている。クリームはしっかりした甘さながら、
甘すぎない絶妙な塩梅。

こんなに見事な昭和クリームパン、今もあるのか。
見た目も味も完璧過ぎる。

続けて「小倉あんパン」


なんとなく和を感じる堅実な書体に加え、
クリームパンと比べると二色の輪のデザインが
良く見ると結構アバンギャルド
特に右上に突き抜けた白の輪が味わい深い。
ローマ字の「ANPAN」の白抜き具合とインパクトも
素晴らしい。


中央に、謎のマークが登場。
インド的なお城に見えるシルエットの下に
「S.K.B」と書かれている。
「SASAKI BAKERY」の略だろうか、もしや。
まさかのオリジナルロゴ。かっこいい。
なぜお城的な物のシルエットにしたのか、
もし再訪することがあれば絶対に尋ねたい。


まんまるの姿に、きれいに振られた黒ゴマが
絵に描いたような見事なアンパン。


中身はつぶあん
こちらの中身もクリーム同様に甘さのバランスが
ちょうど良い。

そして最下部の「合成保存料含有」の文字に、
言及せずには終われない。
佐々木パンよ、一体何を入れたのだ。
シンプルすぎるパッケージに原材料の表記はなく、
何が入っているかは永遠の謎である。

「メロンパン」


以前にレビューしたメロンパンも関西パンで、
関西ではこちらがメロンパンらしい。

濃い緑の帯に白い「メロンパン」の文字が
鮮やかで美しい。

「全糖」と大きく書かれている。
砂糖のみの甘さが売りになる時代から
生き残ってきた証である。


形は関西風の紡錘形。少し小ぶりでおやつに
ちょうど良さそうな大きさである。


中身はちょっと少なめの白あん。
固めで少し甘さは強めなため、周りの生地と
良いバランスで楽しめるようになっている。

外側のしっとりさと、中の生地の少し粗目な
舌触りがマッチして、いかにも懐かしいメロンパンの
食感であった。

サンライズ


こちらが関東ではメロンパンと呼ばれているが、
関西ではサンライズとのこと。

優しい書体と色合いにほっこりするパッケージ。
すっきりした円形の意匠は少しモダンな雰囲気を
漂わせている。こちらも「全糖」。


表面は美しい焼き色の上に、砂糖がちりばめられている。


中には何も入っていないのだが、メロンパンより
きめの細かい生地と食感の良い上のクッキー生地が
合わさって、優しい甘さを楽しみながら食べられる。

メロンパン同様に、大きすぎないところも良い。
牛乳やコーヒー牛乳と一緒に食べると
さらに良さそうである。
次回買う機会があれば、試してみたい。

ラストの「ジャムパン」


パッケージの大きく、シンプルないちごの絵に、
「JAMPAN」のローマ字。
白と赤を最大限に生かしつつ、パンを引き立てる
見事なデザインである。


グローブ型というか、チューリップ型というか、
愛らしい山が三つの、ふんわりした姿である。


中身のジャムは多めで、色が美しい。

昔、給食のコッペパンに時々ついてきた
イチゴジャムの味で、懐かしい気持ちになった。

甘めのジャムが、シンプルでしっとりした
パン生地と良く合う。

どのパンも、パン生地に油脂分は多くなく、
基本に忠実に作り続けられているようで、
飽きずに食べられる。

これからも当たり前のように毎日焼かれ、
当たり前に毎日買える、そんな身近なパンとして
あり続けるのであろうパン達であった。


食パンも良いパッケージであった。

■ レトローカルパン情報
<商品名> 菓子パン各種
<製造者> 佐々木パン本店
<購入場所> 佐々木パン本店
        京都市伏見区納屋町117
<購入価格>一個130円(税込) 2016年9月現在