「菓子パン各種」室井製パン所(和歌山県日高郡みなべ町) レトローカルパン探訪
先日初めて和歌山県を訪れたのだが、
白浜の海は美しく、熊野古道はゆったりと
刺身は新鮮で美味しく、天国かと思った。
お土産にみかんや柿でも購入しようと立ち寄った
産直市場よってって いなり本館にて、
レトローカルパンとの邂逅。
運命かもしれない。
全体的にあまりにも見事なパッケージ。
今回購入した三点の他に、メロンパン、
ジャムパンもあったが、飛行機での運搬を考え
つぶさずに持ち帰れる三点に泣く泣く絞った。
まずは貫禄の「ホームパン」。
これぞレトローカルパン。
見た目は岩手県の白石食品工業の
「ネオトースト」に似ており、
食パンにマーガリンとシュガーという
組み合わせからは青森県工藤パンの
「イギリストースト」が思い出される。
しかしながら、それらの現役で人気の
商品にはない、見た目の横綱級レトロ感。
赤と白のみでデザインされていながら、
ここまでのインパクト。
ホームパンなので、家がどんとデザイン
されたゆるぎなさが素晴らしい。
山型パンのスライスに、マーガリンを塗り、
シュガーをまぶしたパンなのだが、
山型が少し寄っているところがまた良い。
全体的に下の角も丸みがあり、ほんわかと
優しい風情である。
ふんわりとした食感のパンは、パン自体は
甘さ控えめのシンプルなパン。
マーガリンとシュガーは意外と控えめで、
少し砂糖のちゃりちゃり感はあるが、
くどすぎない量。
ペロッと一枚食べられるさっぱりした
シュガートーストとなっている。
ホームパンの由来は定かではないが、
山型パンがお家の形っぽいからか、
家にいつでもあって食べたいパンだからか。
後者だとしても納得の、日常に溶け込む
レトロパンである。
続いては「焼りんご」。
綺麗なデザインの上に、値札を貼られてしまい、
頑張ってはがしてみたが、デザインが取れてしまい
とてもがっかりした。
どちらかと言えば写実系のリンゴのイラストが、
赤のスクエアで囲まれたデザイン。
焼りんご、の書体も素晴らしい。
このパッケージも、ホームパンと同じ赤と白で
印刷されているにも関わらず、まったく違う
テイストになっていて感嘆。
そして今までに見たことのないタイプの
ネーミングと形である。
見た目はお菓子のブッセに似ている。
しかしながらブッセより大きさも一回り大きく、
高さもある。全体的にふっくらした見た目。
表面はしっとりとしていて、
真ん中にはカスタード風のクリームの中に
煮たりんごが細かくなって入っている。
クリームの塗り方は薄目。
食べてみるとカステラに近い味と食感。
しっとりしているが、同時にモソっとした
感じもある不思議さ。
カステラ部分は少し甘めだが、
薄く塗ったクリームとりんごの風味か
良く合って美味しい。
焼りんご、というネーミングは、
焼きりんごっぽい丸みなのか、味なのか、
分からないが、言い切っているところが潔い。
パンとしてもお菓子としても楽しめる
ハイブリッド。
最後は「チョコレートクリームサンド」。
前の二つのネーミングがある意味難解で
あるだけに、あまりにもストレート。
オレンジとブラウンのパッケージは、
見事すぎてため息が出るレベル。
中身も見た目を全く裏切らないパンで、
細長いコッペパンの間に、
チョコレートクリームが挟んである。
クリームは控えめな量だが、なめらかな
舌触りのチョコレートクリームは甘すぎず、
コッペパンに良く合う。
パン自体はホームパン同様に甘くない。
焼りんご同様に、しっとりしながら同時に
もそっとした不思議食感。
このもそっとが懐かしさを呼び覚ます。
給食のコッペパン感。
少し細長い形は、そのまま口に入れやすい直径。
苦も無く食べ進められる良い形とサイズである。
どのパンも、家にちょっと置いてあると
ホッとするデザインと味であり、
いつまでも愛され、作られ続けて欲しい
絶品レトローカルパンであった。
いつか機会があれば、直接店舗を訪れて、
パッケージに産直館の値札が貼られていない
状態の商品を買いたいし、今回買いきれなかった
他のパンも食べてみたいと思っている。
■ レトローカルパン情報
<商品名> 菓子パン各種
ホームパン・焼りんご
チョコレートクリームサンド
<製造者> 室井製パン所
<購入場所> 産直市場よってって いなり本館
和歌山県田辺市稲成町270-1
<購入価格> 1個115円(税別) 2020年11月現在